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白い肌の異常な夜

クリント・イーストウッドが若かりし頃の(といっても41歳か。この人は常に老けているイメージがあるからこの映画のときは若く感じた。実際にいまから40年も前だし。グーグル検索するとクリント・イーストウッド以外の出演者が皆白黒の写真しかない笑)お色気映画なのだが、今日なぜだか自分の境遇をあてはめてしまった。

お色気映画と言っても、クリント・イーストウッドが良い男過ぎて自分がもし女性だったらもう、見るだけで濡れまくっているだろうな、ということが言いたいがための表現なのだが、とはいえ潜在的に男に飢えている女達の秘密の園にいかついけどめっちゃ魅力的な負傷兵イーストウッドが現れて若女も年増女も互いに牽制しながらもイーストウッドに身も心も掴まれてしまって。。。というストーリーなので、そんなイーストウッド様様に自分を当てはめるなど恐れ多いどころか愚の骨頂。

ではなぜそんなことを思ったか。

水曜日に出社すると、隣の事務所のスタッフが日曜日に、F1と接触した疑いのあるF2と接触したためF3になっており、その彼女と月、火曜日と接触していた我々はF4なので、これから自宅隔離をするように、ということで現在アパートの自分の部屋に軟禁されているのだ。

ベトナムでは、F0をコロナウイルス感染者、F1をF0と濃厚接触したもの、F2を、、、という様にクラシファイしている。Lyはホームタウンに戻っているが、ハノイから来たとのことで、しかも日本人の自分がテトに一緒に向こうに行っていたとかいう理由でお熱を測りに人民委員が家まで現れたり電話をかけたりしているらしい。それくらい徹底した感染ルートの拡大阻止とトラッキングを行っているのだ。偉い。

とはいえ、F3になったスタッフの子は隣の部屋で働いており、その二日間は直接喋ってもいない。彼女は寡黙な人だし。そんな自分も一応F4扱いになるということで、ここからは自主規制だが、自宅隔離の生活が始まった。

アパートのオーナーには無論事実を伝えた。 "Oh, aweful..."という返信が返ってきたので(ちなみにこのアパートに越してきた日は、ベトナム到着4日目で、なぜかその日に同僚にパーティーに誘われ泥酔し、財布を無くし、明け方に帰ってくる、そして多分なんか悪いことをした、という次の日に会ったときにも"Awefull..."と言われたことがある。)、これはまじでおとなしくしていないといけないな、と思い彼らには状況を説明した上で、一切の接触をしないようにするという約束をしたのである。最初は時間をずらしてキッチンを使わせてもらう(まだこっちに来てから一年経っていないので料理はしないというルールは継続中なので所詮はインスタントヌードルのためにお湯を沸かして茶碗を洗うくらい)ことを考えていたが、なんだかそんな雰囲気でもなさそうということで、初日はお昼ごはんに大家さんが食パンを買ってきてくれた。え、それだけで暮らせと?"バターは要る?"と聞かれたのでバターはいらないからなんかパンと一緒に食べられるものください。gioとか、と言って買ってきてもらった。そして二日間その食パンとgioを食べて食いつないでいた。自己憐憫モード。

しかし、昨日の夜にプロジェクトの提出前にリモートワークで頑張っているときに隣の事務所のボスから連絡が入る。おー元気にやってるかい?的な。彼もF4仲間なので自宅軟禁をしている。そして不幸なことに奥様はF5になってしまうのだ。食パン食って頑張ってますという自虐ネタを送ったところ、なんとGrabで作りたてのカレーを送ってくれたのである。ベトナムに来て11ヶ月が経つが、先述の通りお料理はしないと決めていたし、日本食を食べることも殆どなかったので、なんと初のカレーだったのである。うまいうまい。涙出る、と思ったけど全く出なかった。でも、こんなときだからこその人間の優しさとか助け合いとかそういうものに触れて、カレー以上に元気が出たのであった。もちろん、F4カレー(奥様お手製だそうなのでF5カレー)を届けてくれたGrab青年(会っていないから青年かどうかはわからないが)にも感謝。Grabの創業者の一人である凄いイケメンでこの前日経のインタビューを受けていた彼にも感謝。

そして、話は白い肌の異常な夜にもどるが、しかしなんなんだこの日本語版タイトルは。C級お色気映画感がすごいじゃないか。とはいえ、最近ソフィア・コッポラによってリメイクされた映画は「ビガイルド/欲望のめざめ」という原題をそのままカタカナ語表記した上にお色気要素できちんとお化粧をしている。さてはて日本語版タイトル問題は根が深い。閑話休題、現在このアパートで部屋を借りているのは自分しかいない。この前までマレーシア人の女の子がマイガールネクストドアだったが、2月末に帰ってしまった。彼女は本当にガールネクストドアって感じの子でした。国連のWHOでボランティアとして働いていて、5ヶ国語くらいしゃべるという明るい、聡明な子だった。給料は自分より高かった。ボランティアなのに。閑話休題、なので自分の他には大家さん(60前後の姉妹と時々一方の旦那)、あと犬と猫二匹が住んでいるだけだった。それがこの前の日曜日オーストラリアとサイゴンに住んでいる姉妹たちが二人して帰省していた。2,3週間前に会ったときはフィリピンに行くとか言っていたのにどうしてと思ったらマニラに入れず泣く泣くサイゴンに帰ると今度はオーストラリアに帰れなくなった(姉)、リモートワークが始まった(妹)ということで二人してこの家に帰ってきたのであった。

女性がいっぱいいる家に男が一人、ただそれだけ(旦那のこと忘れるな!笑)だし、クリント・イーストウッドには千回土下座しても許されないし、そもそも自分は部屋から出られないのでまったくもって境遇は違うのだが、なんだかそんなことを考えて少し気を紛らそうとしているのかもしれない日々を送っているのである。

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