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脱炭素、環境問題、空気汚染


ハノイの空は澄んでいない。

青空が広がることは珍しく、曇天が多い印象だ。

冬になるとそれに霧がかかってますますぼんやりとした空気を作り出す。

最近はそこにひどい空気汚染が加わって、もはや世も末か、と毎朝窓から外を眺めてはため息をつく。


ハノイの空気汚染がひどいことは以前から知っていたが、数か月前から、友人との会話の中で意識させられてから自分事として考えるようになって、毎朝世界の空気汚染のデータをチェックすることが日課になった。

毎朝データをチェックするようになってからは憂鬱になり、神経質になり、不幸になった。

病気というのは名前を与えられると急速に広まる、みたいな話があるが、まさにそれで、汚染された空気の中でくらしていると考えると息が詰まるというか、健康を考慮してしまうようになる。

この問題のつらいところは、気密の悪い家の中にいても影響があるし、せっかくの休日にも外に出る気にならないし、最大の問題点は、どこに行こうが汚染された空気からは逃げられないということだ。

まったく、厳しい。


自分がこういう状況に身を置くようになってからは環境問題についてもよく考えるようになった。

ハノイの空気汚染は世界でも最悪のレベルだが、これに対して地元民の反応は非常に薄い。

コロナに対しての異常なまでの恐怖とは全く異なる姿勢だ。

自動車やバスの排気ガス、そこらじゅうでものを燃やしているところから上がる煙、プラスチックの消費にまったく無頓着な生活、ごみは平気で捨てる等々

日々の暮らしに精一杯なので、少し先の未来に対しての想像力を働かせることはできない。

空気という、魚で言うと水のような、最も近くて最も大切だけど目に見えない存在故か、普段意識することもない。

実際問題、空気汚染の原因となっているのは人々の日々の生活というよりも工場で石炭を大量に使っていることらしいのだが、それに対して問題意識を持つべき人(企業トップや政治家)すらもそういうところに意識が回っていないのだろう。

一人ひとりがこれを自分事として考えて、そして戦って、少しでも環境を改善しようという気持ちになることが最も求められているだろう。

民衆という巨大な山が動き出せば、この国が環境問題を解決することは容易だと思う。



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