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「21 Lessons 21世紀のための21の思考」

ユヴァル・ノア・ハラリのホモサピエンス全史が面白かったので買った本。

人類の歴史を観てきた全史に対してこの本は現代の人類に対する思考。

どちらかというと前作ほどの衝撃とかはなかったけど現代に生きる上での問題と、将来に対する考え方を提示してもらえたので勉強になった。


ビッグデータに意識を支配されることになるであろう、という恐怖感が根底にあるのだが、自分はあまりSNSを使用しないし、あまりビッグデータに情報を提供していないだろうと思っていたのだが、面白くなっていった部分がある。

この本を読み進めていくと日本人としては国家や宗教に対する強い気持ちが理解できないなぁ、と思っていたんだが、途中からあれ、まさか自分のことを語られている?と思った。


イスラム原理主義者とか強く信じるものがある人達は自分と違うな〜と思っていたのだが、自分自身はこの本によると「自由主義」で「世俗主義」であるようだ。


14章 世俗主義

「平等、自由、勇気、責任」

「真実と思いやりに対する双子の責務は、平等への責務にもつながる」

「世俗主義者も確かに、自分の属する国民や国家や文化の独自性を誇りに思っているが、「独自性」と「優越性」を混同することはない。」

「世俗主義の教育では、知らないことがあれば、無知を認めて新しい証拠を探すのを恐れるべきではない、と教える。」

「奇跡を祈る代わりに、自分たちに何ができるかを問う必要がある。」

「世俗主義の教育とは、子どもたちに、真実と信念を区別したり、苦しんでいる一切の生き物に対する思いやりを育んだり、地球に暮らすあらゆる人の叡智と経験の進化を理解したり、未知を恐れずに自由に考えたり、自分の行動と世界全体に対する責任を引き受けたりすることを教える。」


19章 教育

「多くの教育の専門家は、学校は方針を転換し、4つのC、すなわち「Critical thinking」「Communication」「Collaboration」「Creativity」を教えるべきだという。なかでも最も重要なのは、変化に対処し、新しいことを学び、馴染みのない状況下でも心の安定を保つ能力になるだろう。2050年の世界についていくためには、新しいアイデアや製品を考えつくだけではなく、何よりも自分自身を何度となく徹底的に作り直す必要がある。」

「そのような世界で生き延び、栄えるには、精神的柔軟性と情緒的なバランスがたっぷり必要だ。」

「たいていの人は自分がほとんどわかっていないので、「自分に耳を傾け」ようとすると、簡単に外部からの操作の餌食にされてしまう。自分の頭の中で聞こえる声は、信頼できるものだったためしがない。なぜならその声は必ず、生化学的なバグは言うまでもなく、国家のプロパガンダや、イデオロギーによる洗脳や、商業広告を反映しているからだ。」

「もちろんあなたは、権限をすべてアルゴリズムに譲り、アルゴリズムを信頼して自分のこともそれ以外の世の中のことも全て決めてもらって、満足そのものかもしれない。それならば、くつろいで、そういう暮らしを楽しめばいい。何一つ手出しする必要はない。アルゴリズムが万事片付けてくれる。だが、自分という個人の存在や生命の将来に関して、多少の支配権を維持したければアルゴリズムよりも先回りし、アマゾンや政府よりも先回りし、彼らよりも前に自分自身を知っておかなければならない。先回りするときには、荷物をたくさん抱えていかないほうがいい。幻想は全ておいていくに限る。ひどく重たいから。」


20章 意味 人生は物語ではない

「宇宙はそれ自体では、原子の意味のない寄せ集めに過ぎない。何一つ美しくも神聖でもセクシーでもなく、人間の感情がそのような性質を与えているだけだ。赤いリンゴが魅惑的に見えるのも、大便の塊に胸が悪くなるのも、人間の感情のなせる業以外の何物でもない。人間の感情を取り去れば、後には分子の群れが残るばかりだ。」

「私たちは宇宙についての既成の物語に自分自身を当てはめ、それによって意味を見つけることを期待しているが、自由主義に基づいて世界を解釈すると、真実はその正反対になる。宇宙は私に意味など与えてくれない。私が宇宙に意味を与えるのだ。それが宇宙における私の使命だ。私には決まった運命もダルマもない。」

「あいにく、人間の自由と創造性は、自由主義の物語が想像しているようなものではない。私たちの科学的な理解が及ぶ限りにおいては、私たちの選択や想像の背後には不思議な力など何一つ働いていない。選択や創造は、生化学的な信号をやりとりしている何十億ものニューロンの所産であり、人間はたとえカトリック教会やソ連の軛から開放されたとしても依然として、異端審問やKGBと同じぐらい無慈悲な生化学的アルゴリズムの言いなりなのだ。」

「それに気づくと、自分の意見や感情や欲望に前ほどこだわらなくなれる。私たちは自由意志を持ってはいないが、自分の意志の圧政から少しは自由になれる。」

「あなたは思考や情動や欲望を経験するが、それらを支配してはいないし、所有してもいないし、そのどれでもない。人々は、「私は何者なのか?」と問い、物語を聞かされることを期待する。自分について真っ先に知っておく必要があるのは、あなたは物語ではない、ということだ。」

「私たちの自由主義の時代よりも何千年も前に、古代仏教は更に先へ行き、宇宙のドラマの一切だけではなく、人間が創作した内なるドラマさえも否定した。宇宙には何の意味もなく、人間の感情にも全く意味はない。感情は何かしらの宇宙の物語の一部ではなく、儚い揺れに過ぎず、これといった目的もなく、現れては消える。それが真実だ。つべこべ言わずに、それを受け容れるしかない。」

「ブッダの教えによると、宇宙の3つの基本的な現実は、万物は絶えず変化していること、永続する本質を持つものは何一つないこと、完全に満足できるものはないことだという。銀河の彼方まで、あるいは体や心の隅々まで調べたとしても、けっして変わらないものや、永遠の本質を持つもの、完全な満足をもたらしてくれるものには、絶対に出合えない。」

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